

人工乳房の周りの膜が収縮してしまうと、膜が人工乳房をしめっけることになり、バスト全体がかたくなるという状態になってしまいます。これを防止するために従来の表面が平坦な人工乳房の場合は豊胸術後にマッサージをしなければなりませんでした。しかしマッサージをしていてもときにバストが硬くなってしまうということが起きていました。この現象を防止できないかと研究の結果開発されたのがテクスチャードタイプの人工乳房です。このタイプの人工乳房は表面に細かい凹凸があります。この人工乳房が体内に入れられると、そのまわりの膜も顕微鏡で見ると細かい凹凸を持った状態となります。膜が多数の細かいしわを持つことになり、このため膜が収縮することができなくなるのです。ですから仕上がりのバストが柔らかく自然のまま保たれるというわけです。最新の研究でもやはりテクスチャードタイプのほうがやわらかいバストに仕上がるので、現在は表面平坦な人工乳房は私は使用していません。しかしテクスチャードタイプも絶対にかたくならないかというとそうではありません。表面平坦な人工乳房よりははるかにかたくなる確率は低いのですが、それでもまれにバストがかたくなることがあります。また意外に医師のほうで手術後の管理を誤っていることがあります。
美容外科医という仕事は、続けるほどに奥の深い仕事だとつくづく思います。美や流行に敏感な女性たちのニーズを的確につかむこと、美に対するバランス感覚、人としての優しさ、心の痛みを受けとめる人間性の豊かさ、そしてメスを持つ医師としての責任感。さらに毎日進歩している医療技術の習得……。毎日が戦いといっても過言ではありません。最近とくに思うのですが、世のなかの美容外科に対する受け止め方や感覚がいい方向に変わってきたような気がします。より前向きに生きようとする女性たちは、積極的に美容外科の診察室を訪ねるようになり、多くの人が偏見なく見つめてくださいます。「きれいになりたいなら、美容形成をすればいいと思う」「自分で考えて決心したのなら、美容形成できれいになってもいいんじゃない?」そんな言葉をよく耳にします。
よく女性は気分転換のために美容室に行って髪を切り、ヘアースタイルを変えますが、最近では髪の毛をいじるだけではなく全身をトータルに変えていこうという心理が働くものだと思われます。そういうニーズのある女性に、いかにエステティックコースを売り込むかというのが、エステティックサロンのカウンセラーであり、お客様と直接接するエステティシャンなのです。女性の気持ちになって、いかにエステの商品を買わせるか。「あなたの悩みはわたしの悩みでもあるわ。だから一緒に解決していきましょう。そのために、これだけのコースをやりながら、わたしが精一杯あなたの悩みを解決するように努力しますから」などというのが一般的なエステの営業です。あくまでも「お客様と同じ立場になってあたかも一緒に悩んでくれる親友のように」してお客様の心に入り込んでいくというのが一番初歩のテクニックなのです。
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